短編

□今宵どうか、
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ヒュンヒュンヒュンヒュンヒュン


何かが風を切って飛んでくる音を後ろから捉え、その音はどうやら俺の後頭部に飛んで来てる様だから、俺は頭を横に傾けそれを避けた。


ヒュン・・・カランカラン


頬に何か掠れ、俺の前にその何かが転がった。

すかさずそれを視界に入れる。

缶だ、しかも、ジュースの。


「土方さん、1人でお楽しみなんていけねぇや」


暫く缶をがん見していたら、ここ数日聞く事がなくなる筈の気が抜けた声が後ろから聞こえた。


「しかもそれが俺の姉上ってんだから、許せませんねィ。つーことで死ね土方」

「・・・総悟ぉ」


思い切り振り返り怒鳴ろうと口を開いたらついでに目も見開いてしまった。


丘の下り坂には確かにニヤつきながらゆっくりこちらに上ってくる総悟がいる。・・・いるのだが・・・。


「まぁ!!そーちゃんに近藤さん、それに山崎さん達まで!!」


驚いた様なミツバの声にハッとする。


おかしい・・・なんでキャンプに行っている筈の風紀委員の奴らが全員此処にいる。それに・・・。


「銀八ィ・・・テメェらもなんでいんだよ」

「よぉ大串君。良い女と1人お楽しみたぁ羨ましいねぇ。つーことで邪魔しに来ましたぁ」

「誰が大串だっつってんだろぅがぁ!!つーか質問に答えろ!!」


すると1番に丘のてっぺんに登った総悟が代わりに答えた。


「姉上がいない男だけのむさいキャンプなんて虚しいだけでさァ。だから皆でボイコットして姉上が行かないなら俺も行かない宣言した土方コノヤローをひそかに追跡してたんでィ。したら道端でバッタリ出くわした銀八と神楽と眼鏡と姐御もそれに加わりましてねェ。姐御が他の皆も呼び出して、結局この人数になっちまったんでィ」


総悟の後ろに風紀委員、そしてなんと3Z全員が続いて丘を上って来た。
あの高杉でさえもいたのだから驚きだ。


「ヒャッホー!!すごいネ、町がすごく綺麗に見えるアル!!オイ総悟!!今度此処で酢昆布持ってピクニックしようナ!!」

「馬鹿が。・・・ピクニックには手作り弁当が必要だろィ。今度補習終わったら行くか」

「いやー、こんな穴場があったなんて、得しましたよ。ね?姉上」

「それより新ちゃん?このゴリラの死体運ぶの手伝って頂戴」

「ハ・・・ハハハ」

「いやー大きい木ですねーこの木にどれだけの生命がいる事か」


ユッサユッサ


「屁怒呂さんんんん!?いや、屁怒呂様ァァア!?生命!!生命が落ちてます!!それはもうゴミの様に落ちてますゥゥウ!!」

「高杉、どうしてお前まで来てんだよ。つーかどっから来た」

「クククッおいおい銀八ィ。俺にそれを聞くなんざ野暮だぜ」

「晋助様は私と一緒にラブホに」

「あぁあああもういい!!もういいからそれ以上言うな!!」

「エリザベス、此処は夜明けが見えるだろうか」

『幾松さんとですか?』

「・・・・・・ん」


−・・・なんで俺こんな騒がしい奴らの気配気付かなかったんだ・・・。


頭を抱え自分の失態に叱咤した。


と、隣から控え目な笑い声が聞こえて、俺は横を向く。


「フフフッ皆賑やかねぇ」


−・・・ま、いっか。


俺は隠れて笑い、とりあえず俺にバズーカを向けている総悟を殴りに掛かった。






彼女にとって大切な想い出になりますように


終り

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