短編

□不器用な奴ら
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過去拍手もの





「えー、じゃぁ賛成11人反対0人無反応1人により、今日ずけで沖田総悟は万事屋のチャイナに半10メートル以内の接近を禁ずる」





「・・・は?」


















−−・・・



事は真選組関係者全てに関係していた。


元々武装警察真選組は一癖も二癖もある芋侍の集まりである。
流儀もバラバラ思想もバラバラ。

ただ頂点に立つ局長である近藤勲に惚れた(もしくは保護の念を抱いた)、それだけが共通しているこの野郎共がそんな状態なのは確実にその性格が原因だろう。

中でも幹部達はひどい。


ストーカーマヨラーサド云々・・・


そいつらのおかげで無実の罪をきせられた哀れな隊士は数知れず。
あれ?これ仕事の時より被害多くね?と思う程である事が現状。


その中で群を抜いて部下を病院送りにしているのは、斬り込み隊長基真選組一番隊隊長沖田総悟その人である。

ある意味性格の捩れに関してはキングオブキング。

どこで道を外したんですかと誰しも聞きたくなる程の行動を常日頃欠かさないサドスティック星のプリンス。

副長の座を狙う隠れた謀反者。


それでいて剣の天才容姿端麗。近藤にだけ忠誠を誓う(見た目)好青年。


上げるだけ霧がない沖田総悟という男の性格と特徴。

そして最近になって真選組内の人間全てが、新しい沖田の姿を2つ見つけ出していた。


異常な独占欲と執着心。

近頃の沖田は必要以上にその面を見せ出している。


皆原因は分かっている。分かり過ぎて困っているのだ。


原因は万事屋のチャイナ娘、神楽という女の子。


沖田の好敵手。毎日公園で交戦し合う2人の姿はほほえましいとはお世辞には言えないが、少なくとも最初のうちは部下達もその姿に少なからず安堵していた。

真選組屯所内に聞こえる断末魔のような叫び声と爆発が万事屋との出会いによって極端に減ったからだ。

どうやらその殆どの原因である沖田が神楽と喧嘩する事によって持て余していた力を発散し、屯所に戻る時には丸くおさまっている事が多くある事かららしかった。

しかしそれももはや過去形でしかない。真選組隊士は再び恐怖に陥っていた。


沖田は神楽に少しでも近付く男に例外なくバズーカをぶっ放す様になったのだ。
神楽に少し声をかける、触れるだけで直刑にかかった男は数知れず。

真選組隊士など沖田と寝食を共にしているのだ。誤って神楽に近付きそれを沖田に見付かってしまった場合、例え命からがらバズーカの魔の手から逃れたとしても帰る場所が一緒ならば結末は同じ。叫び声の発信地が江戸の町か、屯所内か、の違いただそれだけ。


沖田は神楽を好いている。誰から見ても分かる独占欲と執着心。それは凄まじい嫉妬に変わる。

しかもなんと沖田自身はその気持ちに気付いていない。だから厄介なのだ。
これが恋だ、と知っているならば自身の嫉妬の理由は分かるだろうが、知らなければ理由は勿論理解出来ない。人間は理解出来ない事があると苛々するものだ。沖田もそれは例外ではない。自然それは周りの者達にあたられる事になる。

しかも沖田は剣豪。並大抵の男が敵う筈もない。

だから隊士達は我が身を守る為本能的に神楽に近寄らなくなった。

それで解決出来るならまだいい。


沖田は会話の中で神楽の名前を出すようにもなった。しかも日々その回数が多くなっている。沖田は勿論自覚してない為、聞いている側は「もー、惚気は止めて下さいよー」とは言えない。過去にそう言った監察がいたが一瞬で灰と化した、という一例もある為結果、隊士達は黙って沖田の無自覚惚気話を聞き続けなければならないのだ。それはある意味精神的苦痛にもなる。


心身共に滅入った隊士は次々と倒れていった。その数は万事屋との出会い以前の被害より酷い。


人の恋路を邪魔するやつは云々と今まで手出ししてこなかった男達であったが、さすがにこのままではまずい、と彼等は焦った。


1番焦ったのは真選組を支える副長、土方十四郎だった。
このままでは隊士全員が床に伏せてしまう。

よって土方は全員に協力を要請した。皆二言で了解した。

これによりこの計画は真選組全土の大計画となった。
それ程事態は深刻なものになっていたのだ。



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