氷か太陽か(Novel)
□第1話
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もう、明日の隊長会議の内容は伝えてある。だから出て行って部屋で寝ることにした。
…†…
カイが出て行った後、バージスはらしくもない深いため息を吐いて今カイが出て行った扉を見つめた。
「まさか、あいつがあんな風になるとはな…」
バージスは自分の机の中から包丁を取り出した。
その包丁はかなり使い古してあり、持ち手の所が色褪せている。
唯一普通の包丁ではないと分かる物があった。
黒い物が全体にこびり付いているのだ。
それは血であり、もう既に固まった物。
よく見ると少し錆びているので、これが何年も前に起こった悲劇の証拠だと分かる。
「もう、あの笑顔は見れないかな…」
もう一度深いため息を吐き、バージスは包丁をしまった。
そして、ある事件を追って北へ発った時の事を思い出していた―――――――――
―――2年前―――
「よしっ!今日は此処に泊まろう!!!!入るぞ」
『はっ』
その頃も隊長だったバージスは適当に宿に入った。
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」