氷か太陽か(Novel)
□第2話
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…カイが出て行ってから泣きはしていないがずっとこの調子なのだ。
接客中も笑えない、声が小さい、注文を間違える…。いつものシャラなら絶対有り得ない事だ。
「おい!!カイが出て行ったからって折角来てくださったお客様にそんな顔するならさっさと洗濯物干して来い!」
反応しないシャラに父が怒鳴った。
「…はい」
シャラはとぼとぼと歩いて奥に行った。
「…シャラちゃん、余程ショックだったんだな…あいつが出て行ったのが」
「…悪いな、あんたにも迷惑掛けて」
「いいって!…シャラちゃんの気持ちは分からないこともないからな」
「…そうか、でも言い過ぎたかな…?」
父と客数人は不安そうに溜息をついた。
「…ねー、姉ちゃん何処?」
ジュンがシャラの入って行った所から出てきて言った。
「……洗濯物干して無かったか?」
「うん、ほったらかして何処か行ってるよ?」
客と父、母は嫌な予感がした。
「悪いが、シャラを探すの手伝ってもらえないか?!」
『分かった!』
…だが、シャラは見つからなかった。