氷か太陽か(Novel)
□第2話
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…†…
カイはアジトの中心部に近づくにつれて頭痛がしてきた。
嫌な予感どころではない。シャラが捕まっているという事実が明らかになった。この気配はどう考えてもシャラだ。
それだけでなく、一緒に居る男の中に、とんでもない魔力を持った男が居る。
「…カイ、大丈夫か?」
「はい。…あ、こっちです」
先導しながらもどんどん頭痛が激しくなり、遂には膝をついて頭を抱え込んでしまった。
『カイ?!』
「…どうした、奥に何か有るのか」
「分か、りませ…ん」
カイはなんとか声を出して言う。
「…多、分。僕を対、魔導師だと知って…いる人間が」
『あ、そうか』
トムとバージスは納得する。
『何だよ、意味分かんねえ』
「要するに、だ。対魔導師は他の魔導師よりも感覚が鋭く、5感も優れているんだ」
「だから、対魔導師を弱らせるには…対魔導師ですら“何か聞こえるな”としか思わないぐらい小さな音に何か魔法を乗せて」
トムは言い辛そうにした。
「体調を崩させる戦法がよく使われるんです」
「対魔導師は体調を崩すと魔法を使えなくなる。そうすると相手方が有利になるって訳」
さらっとバージスが言った。
『えっ「でも、それに気付けば問題ない。俺がその魔法限定でシールドを張ればカイは魔法を使える」
「いい…です。剣、で戦いますから」
だが、そう言った刹那。床に倒れこんでしまった。冷や汗がかなり出ている。
「どれだけ我慢してるんだよお前は!!」
バージスは急いで条件指定してシールドでカイを包み、肩に担いだ。
まだ痛みが残っているようで、息が荒い。
「俺が連れてくからちゃんともちなおしとけよ!!!!」