氷か太陽か(Novel)
□第4話
2ページ/19ページ
「相変わらずだな、カイとシャラちゃん」
「そうですか?」
「あの…補佐官?その女性は…」
遅れて来たサジが恐る恐る訊ねてきた。
「あ、この子シャラちゃんっつーの。因みにカイのこれね」
トムは小指を立てて言った。
「ええっ?!」
「…なんでそんなに驚く?って言うか、用件は」
「あ、隊長が…」
「またか。つい5分前まで仕事をしたんだけどな」
「いつもの事だろ?…確か4年近くじゃね?こんなことしてるの」
「ですね。じゃあ、シャラ。行って来るから僕の事務室に居て」
カイは後ろを向いて離しながら歩いている。
「え?!」
シャラが反応したのを見ると、カイは反応の意味も気にせず走って行ってしまった。
「カイの事務室には俺が案内するよ」
「ありがとうございます、トムさん」
カイは広間でバージスがあの頃以降に入ってきた隊員に話していることをドアの外で聞いた。
「―――で、俺はサンを助けるために任務中突っ走ってたら呪いで此処ん所を―――」
…明らかに、おかしい。確かそれは2年前の会の話に似すぎているし、バージスはそんな危険な事をしていない。
「―――詠唱が終わったらさ、俺ここが痛くて押さえて―「隊長、なに嘘教えて…」
流石に我慢の限界がきたカイが言う。
「あ、嘘じゃね―「何処が。その大きな腕の傷は単に任務中に欠伸して魔法動物の餌食に為りかけたときに出来た傷でしょう」
「うわっ…それ言うなよ」
『あの話は嘘だったんですか?!』
隊員は驚いている。
「まあ、細かいのは此処に居るカイが―「隊長!」
カイが制止するが、バージスはにやりとして言った。
「カイが正にそれだったんだよ。目の傷な?」
『ええっ!』
隊員は尊敬の眼差しでカイを見ている。一方カイはバージスを睨んだ。
「怒るなってっ!!あの後2人の仲立ちしてやったの「はいはい。で?呼んだ理由は」
「会議のな――「1枚の紙にまとめて隊長の部屋に置いてますけど」
「あの刺―「刺客の事はもう、マストに調べに行って貰っていますよ」
カイは呆れたように言った。隊員は先読みしているカイに更に尊敬の眼差しを向けた。