おはなし 4

□上手な温め方
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伏せ気味な瞼
長い睫
形よい唇

お互いの唇が距離を縮める
柔らかいそれに触れる
っと思ったのだが、それは宍戸の手によって遮られた
俺の顔と宍戸の顔を遮断する様に間に手が入れられた

眉を顰めた瞬間
「クシュン」
聴きようにようによっては愛らしい破裂音が聞こえた

宍戸は口に手を当て下を向いている為、俺からは宍戸の旋毛しか見えない

「大丈夫か?」
俺の問い掛けに、コクコクと宍戸の頭が上下する
ムードの無い奴、っと思いながらも、宍戸らしくて笑みが零れた

「何かさ、肌寒くない?」
「そうか」
「あれ?俺風邪引いた?」
言いながら顔を上げた宍戸
もう一度、唇を近づける

っと今度は軽く突き飛ばされた
宍戸を見やると、またしてもくしゃみをした
「寒っ」
宍戸は腕を摩る

二度も待ったを食らわされては面白くない
「宍戸」
宍戸の頬を手で包み、上を向かす
「跡部?」
「温めてやるよ」
少し上からの口付け

唇を密着させる
舌で宍戸の唇をなぞり、舌を侵入させて、絡める

睫を震わせ、眉を寄せる
「ん」 音が漏れる
俺の手首を宍戸が掴む

くちゃくちゃと鳴らして、宍戸を堪能して放れる
頬を包んだ手は温かく
見ると赤く色付いていた
「熱くなっただろ」
宍戸に微笑んでやった




2008/03/12

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