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□あ行
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あ:挨拶

おはよう
こんにちは
こんばんは
いただきます
さようなら
いろんな種類の挨拶があるけど、それは無いだろ。
酷すぎる…


今朝も見つからない様に気を付けて、準レギュの部室に向かった

よかった、彼奴に見つからなかった
朝から、あんな襲撃を受けては堪らない
今日で3日。朝だけは平穏な日々が続いている
朝だけは!

知らず知らずに溜息をつきながら自分のロッカーを開けてジャージに着替える

1年の冬。3年が引退して、やっと準レギュになれた。もっと練習をして、少しでも早くレギュラーになりたい
だから準備が出来ると、みんなが来る前に練習をするために部室を出た
のに……



「愛してる」

耳に聞こえた声
嫌でも覚えてしまった、この声に飛び退いた
人の顔を見る度に男は言う

「好きだ」

気力が、この男の言葉で削がれた

「跡部…」
「宍戸」
「はぁ〜何で、てめえが此処に居るんだよ!てめえはレギュラーだろ!」

跡部が近づいて来る

「亮に会いに来た」
「来るな!」
「亮」
「近づくな!」
「亮」
「名前を呼ぶな!誰が許可をした!」
「誰が許可を求めた?」
「止めてくれ」
「愛してる」
「何を言ってやがる」
「好きだ」
「何で毎日毎日毎日」
「お前が俺に靡かないからだ」
「嫌な言い方するな」
「自分の心に正直になれ」
「自分を信じての言動だ!」
「本当に日本人は恥ずかしがり屋だ」
「なんや大きな声が聞こえると思ったら、またお前らか」
「忍足」「お前か…」
「跡部、冷た!」
「って言うか!」

部員の中でも来るのが遅い忍足が来たって事は…

「そやで、もうすぐ朝練の時間…」
「跡部!お前のせいだぞ!」
「そんな事を言うとらんと早よ行かんでいいんか?」
「あっ!跡部、覚えてろよ!」
「走ってった…どこの雑魚キャラやねん」


後ろから聞こえる忍足の言葉を気にせずにコートに向かって走った


「亮」

練習を終えて教室に戻ると、また跡部に捕まった
こんなにおおっぴらに告白をされていると校内でも知らない奴はいない
笑われもするし妬まれもする
まったく迷惑だ
迷惑だ…

迷惑だと思うのだけど…


今日の放課後は静かだ

「本当は、これが普通なんだよな」

なんて思いながら歩いてると生徒会室が見えた
今日は会議で跡部はクラブに出れるかどうかわからない
居ないと静かだ

けれども最近
あれがないとないで、もの足りなく寂しいと思ってしまう自分は相当重症なのかもしれない…

また明日も聞くことの出来る言葉を思い出して俺は苦笑した
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