04/10の日記

20:00
第2戦
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軽やかな足取りで宍戸が歩く
肩から提げられたテニスバックの中がカチャカチャと鳴る
スキップをしそうな勢いの宍戸は鼻歌まで奏でそうだった
その後ろを歩く向日は呆れながらも、微笑ましく笑った
寝ていた芥川も、目を輝かせて宍戸の横を歩いていた
リュックの肩紐をぎゅっと持って楽しそうだ

後少しで、テニスコートに着こうとしていた
その時
「退け!」
三人が声が聞こえた方を見た
すると、見た事のある姿がバックで跳んで来たのだ
その人物は体勢を整えて、構えなおす
肩幅に足を広げた
コンクリートの隙間の砂利がジリっと音を立てた
「若」
呼ばれて宍戸を横目で見た
「お前、何やってんの?」
向日の言葉に日吉の目が鋭くなる
「見て分からなかったら、聞いても分からないんじゃないんですか?」
向日が言い返そうした時
すっと、日吉が視線を前に戻した
その視線の先には敵が居た
四人を目掛けて歩いてくる
「お前、戦ってるんなら、応援を呼べよ!」
向日がカバンを下ろした
敵の拳を、日吉は力の流れ読み
受け流した
「一応、スクランブルコールを押させてもらったんですけどね」
日吉の左手が敵の腕を払い除け、右手が鳩尾に入る
敵が後ろによろめいて、一歩・二歩と下がった
敵の背後
左手が目標を定める様に添えられた
早いスピードで戻される、左手よりも早く
右手が、その背中に命中
拳が喰い込み、敵が地面に向かって倒れていった
うつ伏せになる前に塵になって消えていった
一息付いて、宍戸の黒い髪が早い動きに遅れてついてきた
「宍戸、カッコE〜」
観戦をしていた芥川が宍戸に歓声を送った
日吉も構えていた体を戻して宍戸を見た
「早い……」
「おい」
宍戸が日吉を見た
「はい」
「日吉…」
宍戸の気迫に日吉の喉が鳴った
「テニス行くぞ」
「…はい?」
宍戸はテニスバックを肩に掛け、目的地へと歩き出した
芥川がそれに続く
まだ宍戸はブツブツと文句を言っていた
「何ですか?アレ…」
向日が日吉の肩を哀れみ一杯に叩いた
「今からテニスしに行くんだよ」
「だから、何ですか?」
「それを邪魔されて怒ってんだろ?」
「……」
「お前も来いよ」
向日が日吉の隣を歩いて宍戸達の後を追った
日吉は宍戸の背中を見て、拳に力を入れた
「下剋上だ。」

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