04/22の日記

21:12
第9戦
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ソファーに座って、項垂れる宍戸
数日前の宍戸からは想像が出来ない
脚を開いて、その膝の上に手を付いている
沈んだ空気を漂わせて、口から唸り声を発しそうな雰囲気だ

「宍戸」
心配そうな芥川の声
宍戸からの返事はない
「…宍戸、気の毒。」
言った芥川の肩が小さく震えた
その隣には、芥川の肩に手を置いた向日
「でも、あれは……」
「言うなっ!!」
向日の言葉に宍戸が大きな声で叫んだ
そして、大きな声を出して向日が笑った



あの時
宍戸が跡部と対峙した時

宍戸がその速さで跡部の懐へと入った
しかし、跡部はそれを物ともせず、正面から受け止めた
跡部は腹の前で宍戸の拳を掌で受け止め、自身の宍戸より大きな手で覆い隠した
体を横に傾けて宍戸の拳を後ろへと流す
片方の手は宍戸の後頭部に回り、跡部は力強く引き寄せた
流された力は跡部の後ろへと向かうが、頭を掴まれ、宍戸は顔を上げて跡部の顔を見た
跡部の口は弧をえがき、宍戸に近づいた
耳に綺麗な唇を寄せた




「…好きだ」

そのまま宍戸の体を抱きしめた
「は?」
一連を見守っていた仲間達は絶句している
そのまま跡部は腕に力を入れた
「嫁に来い」
宍戸は声を吹き込まれた方の耳を手で押さえて、口をポカンっと開けていた
そんな顔も可愛い、などと跡部が言って微笑んだ
数秒遅れで、宍戸は跡部が発した言葉に我に返り、跡部を殴るべく手を上げたが、難無く跡部に受け止められる
しかも、その手を取り、そっと目を閉じて優しく口付けた
宍戸は毛が逆立ち、声にならない声で叫んだ
顔を真っ赤にさせた宍戸に跡部は照れるなと、優しく声を掛ける
「あっ跡部!!」
「何だ」
跡部が甘く宍戸を見つめるから宍戸は次の言葉が出てこなかった
硬直して動かない宍戸に跡部は、開いた額にキスをした
「返事は、後日聞きに来る」
跡部はそう言うと、惜しみながら宍戸を手放し消えていった
その場には、座り込んだ宍戸が居た



何度、思い出しても笑える
向日は腹を抱えて笑う
笑いすぎて、立つこともままならず、崩れ落ちた
皆、可愛そうだ・失礼だ。と言いながらも微かに肩が揺れて笑い出すのだ
そして、宍戸は肩を落として跡部の告白に絶望した

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