04/30の日記

20:59
第11戦
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氷帝戦隊が駆けつけた場所には沢山の敵が居た

今日は、妙に敵が多いと思っていた
多さと、雑魚ばかりだと云うことに少々困惑をしていたが
そのど真中に宍戸は一人で突っ込んでいた
鬱憤を晴らす様に片っ端から殴り倒していく
「荒れてますね」
鳳が宍戸の背中を見つめた
銀色の髪が太陽の光りを反射してキラキラと光っている
胸には戦いの最中でも、ロザリオが掛けられており、光りを反射した
その光りが向日の顔をゆらゆらと照らし、眩しそうに顔を顰めた
「あぁ」
相槌をした向日は腰に手を付いて、気だるそうに立っていた体を立たせて敵へと走り出した
暫し傍観をしていた皆は、それが合図だったかのように後に続いた

宍戸から怒声が聞こえてくる
次々に殴っては蹴飛ばして敵を薙ぎ倒していく
「宍戸格好いい〜」
宍戸の背中に肩が当たった
背中合わせに向日が宍戸を見た
宍戸は向日を一度見て、また違う敵へと行く
トンっと離れた背中に向日の口角が上がった
向日は自分に気合を入れて、同じ様に走り出した

「何か…静かやな」
忍足が不意に気付いた
先程まで聞こえていた宍戸の声が突然聞こえなくなったのだ

「………」
宍戸が無表情に敵を殴っている
「愛している」
襲って来た敵を蹴る
「好きだ」
延髄蹴り
「愛してる」
「………」
宍戸は右から聞こえてくる声に耐えられなくなる
そして、体を翻し、これ程無いまでに振り被って殴った
「昨日の今日でこれか!!」
宍戸の雄叫びと拳は綺麗にかわされた
顔面を目掛けた拳は包まれている
そして、逆に握り締められた
宍戸に殴り掛かられたのに跡部は愛しそうに見つめて、近づいた
「う゛っ……」
「淋しかったのか」
「違う!!お前、来るのは後日だって言っただろ」
「待っていたのか」
「それも違う!!」
宍戸は跡部を吊り上げていた目を更に吊り上げて、睨んだ
凄い勢いで顔を逸らすと、後ろに居る敵と戦い始めた
跡部は隣に寄り添う様に立っていた
「お前の返事が待ち切れなくて来た」
「………」
「後日だから、今日来ても何の問題も無い」
「………」
黙々と単純作業を繰り返していく宍戸
「宍戸」
「……」
「愛している」
動きが止まる
「あ―――っ!煩い」
「照れるな」
「違う!」
宍戸が跡部に向き直った
「俺はお前が嫌いだ」
「………」
初めて跡部の動作が止まった
「何て言った」
「だから、俺はお前が嫌いだ!!」
跡部の手が小さく震える
怒って、戦いになるのかと宍戸が身構える

だが、何時も跡部は予測不能だった

行き成り抱き締められた
息も苦しいほどに
初めは、その強さから絞め殺されるのかと思ったが違った
熱い抱擁だった
耳には溜息
「何だよ!」
不振気に宍戸が声を張り上げた
「可愛い」
またも、宍戸の声にならない声が響いた

「何や…微笑ましいなぁ」
戦いの場に、長らく観察をしていた忍足の感想が聞こえた

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