リク小説
□すれ違う想い―…
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ここは壬生の地。そして五曜星の門の前。
そこはいつものように刃の交わる耳障りな音が響く。
師と弟子が日々、技と精神ともに稽古する場所である。
そこで刃を交えていたのは水を司る辰伶とその師匠の吹雪。
銀色の髪をなびかせて師と一緒に舞い闘う姿はなんとも美しい姿である。
そんな姿を見ながらボーとしているのは辰伶の異母兄弟の弟にあたるほたる。
ほたるは正直、異母兄に惚れている。
いつも散歩がてら、辰伶の稽古を見ていた。
(辰伶…やっぱあんたキレイだよね)
そんなことを考えながらボーとしていると。
「キサマ、こんなトコで何をしているのだ?」
「…ん?あ、辰伶…特に何もしていないよ」
辰伶は上半身裸になり、布で汗を拭いていた。
ほたるはそれを直視しないようにプイっと横を向く。
( …………??)
それを見た辰伶は…。
「キサマっ!!そんなに俺が気にいらないのか!!」
「うん…(何で辰伶はいつもすぐ怒るの…?)」
「貴様っ!!ふざけるな!!」
そういうと、辰伶は銀色の髪の毛をなびかせながら門の中へ入ってしまった。