ランエボの最大のライバルである。今回のフルモデルチェンジで外見も中身も大幅に方向転換した。まず外観。日本で売れないハッチバックをあえて採用。理由はWRCで勝つためにリヤ・オーバーハングを減らし、ホイールベースを延ばして欲しいというスバル・ラリーチームの強い要請があったからだ。その意味では新型インプレッサはWRCで勝つために作られた車である。その割りに非常におとなしく、オーバーフェンダーが張り出し、リヤウイングが少し大型になったくらいである。これでもゼロリフトだそうでたいしたものだ。内装は地味である。これもベース車とさほどの違いはないが、ランエボのように安普請ではなく質感はまずまずである。では試乗してみよう。「完璧!」。試乗後に友人に電話でこの言葉を連呼した。それほどのできである。まず乗り心地。ベース車の頼りなさはなく程よく締め上げられたサスペンションであるが、乗り心地はすこぶる良い。ランエボのように揺す振られる事もない。それでいてコーナーではビシッとロールが押さえられ路面に貼り付く。エンジンは「本当に308馬力?」と思うくらいマイルドながらレスポンスは充分であっというまにスピードが上がっている。この点でもランエボとは対照的である。センターデフをハンドリング重視のAUTO−(マイナス)にセットしコーナーを攻める。「完璧!」ある。切り込んだハンドルの蛇角ぴったりの動きを始め、パワーをかけてゆくとまるでFRのようにリヤがアウト側にジリジリと張り出す。しかしここからが素晴らしく、パワーをかけてゆくとこのままのジリジリと尻が出る姿勢のまま何事もなかったようにコーナーを抜けてゆくのだ。この間、何の恐怖心もなく安心感に満たされるのだ。欠点は?1つだけ。クラッチ辺りの剛性が足りないのか、ガツンとクラッチミートすると大きなショックが伝わってくる。これは各ギア全てに感じるので非常に嫌な感じがする。それ以外は絞まってはいるが乗り心地のよい足回り、パワーはあるが静かでマイルドなエンジン特性、ヨーロッパの超一流スポーツセダンも真っ青な車であった。

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