ムードはなかなか良い。ドアを開けた瞬間から普通の乗用車とは別物の雰囲気が漂う。後席もセンタートンネルで左右が完全分離され移動はできないものの、このスタイルからは想像できないくらいのスペースが確保されており、観音開きの後部ドアの効能とあいまって充分実用的である。
デザインはセンターコンソールのデザインモチーフである円や、内外装のそこかしこにちりばめられたロータリー形?が目にうるさくおもちゃのようではある。それより何より各部品がペラペラで質感は著しく劣るのが残念である。
次に肝心の走行性能であるが、はっきり言って期待外れであった。試乗したのはATであったが元々トルクの少ないロータリーでは完全にパワー(トルク)不足で明らかに「遅い」。一説によると米国ではカタログ馬力と明らかに違うと訴訟も起きたとか。高回転まで回せばそれなりの加速はするし、ウイーンという昔のロータリーサウンドとは完全に別のレシプロ的エンジン音で気持ちがいいが、中低回転では軽ターボとどっこいの加速感しかないのが現実である。
その一方ハンドリングは上々で、軽い鼻と軽い車重が幸いしヒラヒラと軽快に身をこなす。ただしこの軽量の車重は諸刃の刃で、Zなどと比べると薄っぺらな乗り味に感じてしまう。
結論から言ってRX−8はマニュアルでのるライトウエイトスポーツと位置づけるのが正解であろう。この意味ではライバルは同門のロードスターか。いずれにしてもカー雑誌での諸手を上げた好評が信じられない。RX−8に限らないが雑誌記者は本当に試乗しているのか疑わしいしく、他人の評価と諸元表だけで記事を書いているのかと勘ぐりたくなる場合が多い。

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