まぎれもないスポーツカーである。既に生産中止になったがライバル会社のスポーツカー(カプチーノとビート)を指をくわえて見ていたダイハツが満を侍して作り上げたショーモデルを忠実に実売にこぎつけた意欲作である。発表当時、軽自動車はもちろん普通車でもソアラのみ、海外でもベンツとプジョーの一部車種に見当たらないリトラクタブル・ハードトップ(アクティブトップ)を採用し作り上げた2シーターオープンスポーツ。ベースはミラ等の一般軽自動車であるが、RX-7やインプレッサWRXにも使われるアブレダブルシール式ターボを含め、足回りは遥に高出力のリッター・ターボ車YRV用を準用、サイドシルやフロアトンネルその他ありとあらゆるところを大幅補強、床下にはX型ブレースを2組設置、冷却効率を考慮した前置きのインタークーラー、トルク増幅よりもレスポンスを狙った硬めのトルコンを使用したAT等々外観も内部もベース車とは完全に別物で専用設計と言ってもよい。パワーは64馬力の自主規制内であるがトルクは11.2kgmの軽最大を発揮し8000回転まで小気味良く回る(いまや少数派の)4気筒エンジン、105mmと国産最低の最低地上高と2シーターによる理想的な着座位置、165/50の超扁平15インチタイヤ等によりこれぞスポーツカーというハンドリングを示す。FFというレイアウトも64馬力のパワーと軽量ボディではハンディとならない。下りのワインディングであれば上級スポーツカーと互角の走りを示す。天気の良い日に約20秒で全開になるアクティブトップをオープンにしワインディングをキビキビとハイスピードで流す。日ごろのウサが吹っ飛ぶ瞬間である。一方クオリテーの高さも軽自動車の域を脱している。さすがにエキスパートセンターで半ばハンドメイドでくみ上げられるだけのことはある。塗装も5層で高級車並みである。欠点?しいて挙げるなら余りに低い最低地上高ゆえ通常の車止めではボディが接触する事や積雪では腹が擦ること、乗り心地が堅すぎること、当然ながらオープンにすると全く荷物が乗せられないことくらい。こんな車を150万で作ることなど日本以外不可能である。まさしく日本が世界に誇るべき至宝、ミニ・スポーツカーである。余談ながら値落ちの少なさも特筆物で私が乗っていた初期型(AT、レザーシート)は4年半落ち、走行4万km超にもかかわらず、中古車販売チェーン店で93万の買取り値が付いた。

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