少し古びた青い本

□出会ったのは偶然か
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「…まさかこんなところで会うとはなぁ…」
世間は狭い。
帰還指示にしたがってもと来た道を歩きながら、先ほどの剣士のことを思い出す。
同じ目の色、髪型、髪の色は父親譲りの青。
勘のいい人間なら、二人が並んだだけで気付くだろう。
こちらは気付いた。
彼はまったく気付かなかったが…鈍いのだろうか。

数は減った様子の相変わらず歩み寄ってくるゾンビを、今度はヒールで葬りながら出口へ。
数時間の探索だったとはいえ、洞窟内の淀んだ空気から開放されて気持ちがいい。
傾きかけた太陽の眩しさに目を細めて大きく背伸びをしていると、先に地上へ戻ったPTがワープポータルを出して手招きしているのが見えて急いだ。
「遅い、ちびすけ」
「ちびって言うな」
緑の髪のプリーストに背を叩かれて、その勢いのまま光に飛び乗る。
ふと、先ほどの剣士のほうが自分より背が高かったことを思い出して落ち込みながら。




→あとがき
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