ディスティニークロスロード

□第8章 神社の地下へ
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 第8章 神社の地下へ

 和真は目の前の状況が分からなかった。祐樹は微動だにこそしていないが、汗が噴き出ている。

「祐樹どういうことだ、何でそんなことがわかったんだ。」「地下に落ちた時にはっきりと聞こえなかったが話声がしたその内容さ、そしてこの家の人たちは妖怪、ヴァンパイアと言ったとこかな。」

清一はそのことを聞いてこう言った。「半分正解です。私が魔術族。妻がヴァンパイアで真美がそのハーフです。ちなみにヴァンパイアの遺伝子の方が優性なので真美が金髪になったわけです。妖怪は昔からさまざまな伝説が残っていますが、たいがいは人間の思い込みが多いのです。」

「じゃあ昔、妖怪と人間は争いをしなかったのですか?」珍しく和真が聞いた。

「妖怪は人間と姿かたちは力を使ったりしない限り同じですから今まで1部の人間にのみ真実を知らせひっそりと住んできました。」

「妖怪が悪者というイメージは?」祐樹が聞いた。まだ半信半疑のようだ。

「先ほど言ったように人間の思い込みもありますが、人間を見下す妖怪が1部ですが存在していることがその原因だと思います。私たちのように人間と共存する妖怪の方が圧倒的に多いのですが。」

それを聞いて和真は安心した。聞いた祐樹もどこかほっとした様子だ。しかし、また祐樹は質問をした。

「ところでそんなこと急に、しかも今日会ったばかりの俺たちに何で教えてくれたのですか?」「あなた達が神社の地下に落ちたからです。」清一が答えた。「

じゃあ、あの時の感覚は…。」和真が言ったすぐ後に再び祐樹が聞いた。「なぜ落ちたからと言って、信用したのですか?どうしたら神社の地下に降りることができるのですか。」

「地下へ下りるためには方法は3つあります。1つは妖怪が降りる際にある言葉を唱えるのです。2つ目は妖怪の事実を知り地下で登録されている人間がこちらもある言葉を唱えるのです。そしてあなた達が落ちた3つ目の方法、私たち妖怪が人間を地下で新しく登録するために地上の純粋な心をもった人間の純粋で清い心があると反応した時に人間が地下へ落ちるのです。しかし、いきなりでは説明が難しいので、1回落ちて確認した後に地上へ戻し気絶していたことにしています。その時の感覚はおのずと覚えているので説明がしやすくなります。でも、ここまで当てられたのは初めてですね。」

「あの時落ちたのは、和真がおれのテストを取ろうと必死だった時の心が反応したのか。ところで登録とは何ですか?」

今度は真美が答えた「登録とは神社の地下でできるものです。もともと妖怪が住んでいるのは世界中に点在しているのですが。登録をすると妖怪の真実を知る人間として妖怪から認められ地下に自在に行けるようになったり地下で妖怪の力を持った道具を使うことができるなど様々な利点があるのです。代わりに妖怪は人間に理解され協力してもらいたいことがあるのです。協力といっても本当にいろいろありますが。」

一通り話し終わった後、1番最初に口を開いたのは、和真だった。「じゃあ俺たちを、神社の地下で登録させてください。」

「興味あるからね。俺も和真と同じ考えだ。」「よかった、あなた達の記憶を消さずに済んで。」「え?どういうこと。」和真が聞いた。

「妖怪は登録を断った人間の記憶は消さないといけないのです。そこから私たちの存在が世に広まってしまうから。

でも大丈夫みたいですね、それでは登録に行きましょうか、二人は私が連れて行きます。」和真と祐樹は真美と共に神社へ向かった。

 神社は改めてみると二人とも価値観が違って見えた。妖怪の世界に入り口だと。「私と一緒なら、気絶しませんから安心してくださいね。」

和真は一安心した。「よかったー、また気絶したくないからね。」「じゃあ開けますね。汝の扉開かれたし、我は扉の奥の住人なり。」地面に穴があき地下へと降りて行った。

 降りていく感覚。長く続くと思ったら、早くも地面が見えた。ぶつかると思ったら小さい台から降りたような感覚だった。

後ろは壁そして眼の前には、関所のようなもの奥には地上の商店街と何ら変わりない風景があった。「まずは登録です。二人なら必ず合格出来ます。」

「合格?」と和真。「まぁ、行けば分かります。」関所のようなところにある受付に、50歳ぐらいの中年の男性が座っていた。「やあ、真美ちゃんその子たちを登録かい?」

「はい、お願いします。」「彼は看守さんの鈴木幹夫(すずきみきお)。河童の妖怪です。」

「ちなみに皿も甲羅もないよないよ、皿は昔流行していた帽子のようなものだったからね、甲羅も似たようなものさ、でも水かきはあるよ自在に出し入れできるから今はないけどね、どっこらしょっと。」

看守さんは水晶玉のような丸い玉を出した。よく見ると外側がガラスで中に透明な液体が入っている。「これは何ですか?」さっそく祐樹の質問だ。」

「これは判断の水の石。地下に来た人間の心を色で表現する液体が中に入っています。この色が薄ければ薄いほど、清い心をもっているということです。」

「色は、黒 赤 茶色 緑 青 ピンク 黄緑 水色 黄色 白の順番でまぁピンク以上なら合格、ちなみにいつでも色が一緒ではないからね。けど1回でも合格出来ればいいから気楽にやってよ。」

真美と看守さんが言い終えた後「じゃあ俺から試すよ。」祐樹が触れると色が徐々に変わっていった。

そして薄い黄色、レモン色になった。「ほおー、すごいなわしはここまできれいなレモン色を見たのは久しぶりだ。数10年ぶりかな。」本当に感心しているようだ。

「じゃあ次は俺。」和真が触れまた色が変わっていった、徐々に色がつき混じりけのない白になった。その様子を見ている真美と看守さんはかなり驚いている様子だった。

「……こりゃたまげた。白なんて初めて見た。いい心を持っているようだ二人とも、文句なし合格。」

二人は「よし。」と言っているそばで真美はあっけにとられていた。「早速だが登録する。二人とも手の甲を上にして右腕をこっちに出して。」

看守さんの言われるままに、手を出した。「ちょっと痛いけどごめんね。」すると看守さんは、ナイフを出し二人の手の甲にF字の傷をつけた。

「いたっ!」そして和真の腕を判断の水の石に近づけるとガラスの部分を通り抜け中の水に右手がすっぽりと入った。

血が出ているのに水に色が吸い込まれ傷が癒えてきた。そして和真には水が傷口から入ってくる感覚がある。

傷が癒えると、和真の手を出し祐樹も同じように、傷を癒した。二人にはF字の傷が手の甲に残っていた。「そのF字の傷が、登録のあかし。ファントムの略ね。ほかに傷がある人間がいたら登録されている証拠だ。」

看守さんが言い終えると、3人は関所を通り抜けた。地下の街は曇り空のような明るさだが十分明るかった。

「あら真美じゃない、その人たちだれ?」ある女性が近寄ってきた。髪はポニーテール、元気な女の子という印象がある。

「紹介します。この娘は天野詠乃(あまのうたの)と言います。エンジェルと風族のハーフです。私と同じ学校に行っています。」

「苗字と合わせると言いにくいから詠乃で呼んでね。」妖怪の住む地下世界。いろんなことに驚かされてはいたが、まだまだいろいろありそうだな。

和真はそう考えながら、わくわくしていた。

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