ディスティニークロスロード

□第10章 一条学園高等学校
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 第10章 一条学園高等学校

 上へ上へと上がっていく感覚も長く続かなかった。早くも、地上へ着いたのだった。地上は入口の神社から離れていた。

「ここはいったい…」和真が言いかけたがすぐわかった。自分達の街の空き倉庫。ここにつながっていた。

「父に自転車を持ってきてもらいました。」真美の言ったとおり、自転車があった。しかし、祐樹はここのことを知っていた。

「早めにいこう、ここは不良のたまり場だ。面倒なことになるかもしれない。」和真は急いで自転車の鍵を解いていた。真美と詠乃は知らなかったようだ。4人は空き倉庫を後にした。

和真と祐樹は家、真美と詠乃は地下へ通じる公園へ向かっていた。「さっきの神殿能力を授けるってどういうこと?」和真が聞いた。

「入口で判断の水の石に色が出ましたよね、きれいな心を持つ人間に妖怪の血と判断の水の石を混ぜたものをF字の傷から入れることで妖怪の力を得ます。色が白に近いほどより強い妖力を持つことが許されます。ピンクから水色まででは、炎族 風族 雪族 水族 雷族 地族の中のみで、白まで行けば、聖獣族の力を持つことが許されます。」

一通り真美が話し終わった後、詠乃が付け加えた。「妖力は一度つけたら妖力の種類を変えることはできても、妖力を手放すことはできないの。だから本当に、考えてあの神殿に行きかを決めてね。」

「…少なくとも今はいらない。下手に力を持つと何が起こるか分からないからな。」祐樹の言葉に和真も同意した。

「ではここで」「バイバイ」「じゃあね」「また今度」2人は公園に、和真と祐樹はそれぞれの家に帰った。

「あっ」「何どうしたの?」「2人に言い忘れたの。今度あの近くに転校すること。」真美と詠乃は地下で話していた。「大丈夫、今度話せばいいよ。明日だけど、遅いって事は無いでしょ。」「ええ、そうね。」

 ここは、一条学園高等学校。地元でもレベルの高い高校。文武両道で部活動でも高い成績を残している。和真と祐樹の通う学校である。

キーンコーンカーンコーン。朝の始まりのチャイムが鳴り、2人はSHRのため席についていた。「おはよう。」先生が教室に入り、いつもの通り出席を取る。「今川……中西…本多…野之。全員いるな、今日は編入生がいる、2人な。入っていいよ。」

ガラガラ。祐樹は目を見開き、和真は頬杖から顔が落ちた。入ってきたのは、詠乃と黒髪だが真美だった。2人とも和真と祐樹がいることに今、気づいたようだ。

「新しく一条学園に来た、星川真美です。よろしくお願いします。」「私も新しくここの生徒になった天野詠乃です。これからよろしくね。」真美は丁寧な、詠乃は元気な挨拶だった。2人は一条学園に編入したのだった。

「一体、これからどうなるんだろう。」和真はそう考えていた。

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