企画室
□拍手連作
2ページ/7ページ
御礼SS
そーゆーことした次の日は、腰の奥がだるくて重くて起き上がれない。
気温はますます低く、布団はますます温く、そしてこの憎たらしい魔人の肌はますます心地よいとか、人生終わってる。
「……」
「ヤコ」
目の覚めたらしい魔人は暇なのか、圧し掛かって顔を覗き込んでくる。
きらきらの緑色。子供の悪戯を思いついた顔。
その顔が嫌いじゃない。
嫌いじゃないのが、イヤ。
「……何」
「ヤコよヤコ」
「だから何」
「貴様のウエストはどうしてどこにも見当たらないのだ」
前言撤回。
あの顔の後はロクな結果になりゃしない。
「うるさいなっ!あるよ!……多少は」
その台詞もどうかと思いつつ。
腰の肉を自分で摘んで見せ付ければ、大きな溜め息とともに首を横に振られる。
悪かったね……!
むっとして口を尖らせれば、魔人は顔を上げて引き続きこちらを覗きこんでくる。
「ヤコよヤコ」
「……何」
仰々しく、不思議そうに首を傾げて。
「貴様の胸はどうしてそんなにぺたんこなのだ」
「いまさら……っ」
自分で言っててちょっと悲しい。
むぅっと口をへの字に曲げれば、今度は相手になけなしの胸肉を掴まれる。
むにむにむにむに。
まるで粘土でもこねるような揉み方。
なんだその愛情の欠片もない触り方は!
(いや、魔人にそんなものはないが)
わざとやっていることはわかるので、なおさら腹が立つ。
こんにゃろっ
抵抗すれど、両腕を封じ込まれて諦念。
溜め息を吐いて目を逸らせば、魔人はまた顔を覗き込んできた。
「ヤコよヤコ」
無邪気な笑顔。
……の裏の、隠された邪気。
ああ、なんとなくわかったぞ。
「……赤頭巾ちゃん?」
魔人は『正解』と答える代わりににんまりと笑みを深めた。
「……貴様の身体はそんなにも貧相なのに」
「だから悪かっ……?」
まっすぐ見下ろす緑色の艶が深まって、ぞくりとした。
何やら先ほどまでと気配が違うことを感じて身体が強張る。
魔人は凄艶に笑みながら顔を寄せ、耳まで近づいて囁くように低く甘い声を響かせた。
「どうして我が輩を誘う?」
「っ……」
やられた。
体温の沸騰。
顔を上げて、両手で抵抗しようとした瞬間、それを再度掴まれてシーツに縫い付けられる。
抗議のために開いた口は、いとも簡単に相手の舌を受け入れ、
「んんんっ……!」
…… こ の 魔 人 は !
再燃していく熱と、快楽の記憶。
舌を絡めあって、お互いの唾液を飲み干して。
頭の隅でぼんやり考える。
(ああ、今日は……)
謎があんまりなくて、暇なんだなぁと。
いや、その結論もどうなんだ?
END
→教師