企画室

□拍手連作
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御礼SS


そーゆーことした次の日は、腰の奥がだるくて重くて起き上がれない。
気温はますます低く、布団はますます温く、そしてこの憎たらしい魔人の肌はますます心地よいとか、人生終わってる。


「……」

「ヤコ」


目の覚めたらしい魔人は暇なのか、圧し掛かって顔を覗き込んでくる。
きらきらの緑色。子供の悪戯を思いついた顔。

その顔が嫌いじゃない。
嫌いじゃないのが、イヤ。


「……何」

「ヤコよヤコ」

「だから何」

「貴様のウエストはどうしてどこにも見当たらないのだ」


前言撤回。
あの顔の後はロクな結果になりゃしない。


「うるさいなっ!あるよ!……多少は」


その台詞もどうかと思いつつ。
腰の肉を自分で摘んで見せ付ければ、大きな溜め息とともに首を横に振られる。

悪かったね……!

むっとして口を尖らせれば、魔人は顔を上げて引き続きこちらを覗きこんでくる。


「ヤコよヤコ」

「……何」


仰々しく、不思議そうに首を傾げて。


「貴様の胸はどうしてそんなにぺたんこなのだ」

「いまさら……っ」


自分で言っててちょっと悲しい。
むぅっと口をへの字に曲げれば、今度は相手になけなしの胸肉を掴まれる。

むにむにむにむに。
まるで粘土でもこねるような揉み方。

なんだその愛情の欠片もない触り方は!
(いや、魔人にそんなものはないが)

わざとやっていることはわかるので、なおさら腹が立つ。

こんにゃろっ

抵抗すれど、両腕を封じ込まれて諦念。
溜め息を吐いて目を逸らせば、魔人はまた顔を覗き込んできた。


「ヤコよヤコ」


無邪気な笑顔。
……の裏の、隠された邪気。

ああ、なんとなくわかったぞ。


「……赤頭巾ちゃん?」


魔人は『正解』と答える代わりににんまりと笑みを深めた。


「……貴様の身体はそんなにも貧相なのに」

「だから悪かっ……?」


まっすぐ見下ろす緑色の艶が深まって、ぞくりとした。
何やら先ほどまでと気配が違うことを感じて身体が強張る。

魔人は凄艶に笑みながら顔を寄せ、耳まで近づいて囁くように低く甘い声を響かせた。


「どうして我が輩を誘う?」

「っ……」


やられた。

体温の沸騰。
顔を上げて、両手で抵抗しようとした瞬間、それを再度掴まれてシーツに縫い付けられる。
抗議のために開いた口は、いとも簡単に相手の舌を受け入れ、


「んんんっ……!」


…… こ の 魔 人 は !

再燃していく熱と、快楽の記憶。
舌を絡めあって、お互いの唾液を飲み干して。

頭の隅でぼんやり考える。


(ああ、今日は……)


謎があんまりなくて、暇なんだなぁと。
いや、その結論もどうなんだ?



END
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