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□糖度100%企画-甘く短いお話
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『SWEET-01』


いつものように謎のない平和な午後。珍しく宿題も終わって、なんともなしに作業中の魔人を見遣る。
不思議な微笑を浮かべたまま作業(たぶん調べ物)に没頭する魔人を見るのが、実はかなり好きだったりする。


自分を一切映さないその瞳が好きだなんて、自分は変わっているのだろうか?


全くこっちを見ようとしないその姿に、少し悪戯心が芽生える。



「ネウロ」

「・・なんだ」

「肩もんであげよーか」

「・・・・・」



訝しげにこっちを見る。しかしそのまま興味なさそうに、すっと視線をパソコンに戻した。



「好きにしろ」



実は、何かに熱中しているときの魔人は、あまり断らないことを少女は気付いていた。
笑顔で魔人の背後にまわる。


滅多に、
そう滅多に自分からは魔人に触れることなどない。

それは少しの怖さと、恥ずかしさが先に立つからだ。

でもこんな風に魔人が何かに熱中してくれさえすれば、別に恐怖も羞恥も感じる事などない。


そっと肩に手を置いて、少し力を込める。
髪の先と髪飾りが手の甲に当たってくすぐったい。


結構、筋肉質なんだよね。
見た目は細身なんだけど。


筋肉の作りさえヒトとは違うのだろうか。
どこまで力を入れればいいのかわからないまま、ただ魔人もたいして期待もしていないだろうから適当に肩をもんでみる。


肩幅はやっぱあるよね。


女の子じゃないんだから、と自分でツッコむ。
抱きしめられたら自分はすっぽり入ってしまう広さ。

そんなことを考えてしまって、思わず赤面する。
それが呼び水になって、服越しの僅かな熱を感じ取って、そうして


抱きしめられた瞬間や、口付けの瞬間がフラッシュバック。



これはヤバイ。



身体がカァッと熱くなってしまって、思わず手を離せば魔人が振り向いて無表情に言い放った。




「欲情でもしたのか」

「・・・・・////」




あまりの図星な発言に、少女は押し黙る。
が、なんとなく・・たぶん滅多にないことなのだろうが、のどかな空気のなせる業だったのか、こくりと頷いた。


それを見て魔人は一瞬きょとんとした後、少女の首根っこを掴む。



「わ・・わわわ」



ひょいと持ち上げて、自分の膝の上に置く。



「・・・・・/////」

「待ってろ」



そのまま後ろから抱え込むような形で両手を前に出して作業続行。
少女は恥ずかしさのあまり閉口する。

見上げれば、魔人の真摯な目がパソコンを見つめている。
やっぱりその瞳が好きだと思い返して、ぽすりと魔人の胸元に頬を埋めた。

自分を包む少しの熱も、この雰囲気も、常ならない魔人の優しさも
全部愛しくて気持ちいい。

目を閉じたら、ヒトとは違う魔人の心音が聞こえてきた。




*****




作業が終わって魔人が見下ろせば、少女はすっかり夢の中。



(・・・ヒトの子は欲情しながら眠れるのか・・?)



訝しげにほっぺを抓る。みにょーんと伸ばしてもなかなか目を開けない。



「ふむ・・・起きろヤコ」

「ひゃうっ・・・」



耳たぶを甘く噛みながら耳元で囁けば、身体を震わせて飛び起きる。
耳を押さえて涙目でこちらを睨む少女にぞくぞくしながら、魔人は笑った。



「主人より先に寝るなとあれほど言ってあるだろう?」



さぁ、お仕置きの時間だ、と微笑めば少女が困ったように上目遣いで見てきた。
さらなる甘い時間は、これから。




END
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