その他
□高校生白書-中学生が進学
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『SS@高校生日記/中学生番外編』
無事めでたく(?)高校に入学し、引き続きこの家庭教師を雇ったのは教えて欲しいことがあったからではない。
今度はこちらが教え込みたいことがあったからだ。
しかし、
「ネウロくん、聞いてる?」
「聞こえてます、先生」
にっこり笑って返せば、ぐぅと変な音を立てて押し黙る。
最近、妙にいらつくのは別段思春期だからとかそういうわけではない。
「じゃぁ、ここ、答えて」
「川端康成」
「・・・・・・・」
悔しげに歯噛みする様はいつものことで、別段珍しくもないし、つまらなくもないが。
「先生、」
顔を覗き込めば、ぎょっとした顔で後ずさる。
これ、だ。
この妙な警戒心。
いつから始まったのかわからないけれど、最近妙に見せるようになった。
立ち上がってその細い手を掴む。
「なっ・・・?」
引きずりあげて、横倒しにする。
「ちょ・・・っ///」
ベッドにナイスオン。
その四肢に乗り上げて、上から見下ろす。
細く小さな身体。こんなにもだったか?
思い返して、我が身を見下ろす。
なるほど、普通の人間と少し違うかもしれないと思っていたが、自分の身体も人並みに『成長』はしているらしい。
それが他人と同じであるという確証にはならないものの、
まぁ、この社会に溶け込むのに不利にはならないのだからそれはそれで良しで。
「ネウロくん!?」
思考を断ち切る、焦った声。
少し考えて、何も無かったように口を開く。
「ちなみに川端康成の他の作品は、『故園』『夕日』『千羽鶴』『山の音』・・・」
「ネウロくん!離しなさい!!!」
「・・・・・」
最近ますます激しくなった先生面。
それは違和感と苛立ちを増幅させる。
視線が合えば、目を逸らしたのは相手だった。
やはり、おかしい。
厚顔無恥な図太さがこの女の美点であったはずなのに。
「先生・・・」
「な、何」
「僕・・・何かしましたっけ」
はっとしてもう一度こちらを見やる。
そしてまた逸らされる瞳。
思わず顎を掴んで上に向ける。
「逃げるな」
「っ・・・・・」
頬が染まる。
目だけ泳いでまた逸らされる。
一体、何が、
「・・・・・・ごめん、何でもないんだ」
赤らんだ頬。
涙目で、呟かれる。
「そんなに目を逸らされると、僕の心は大変ざわめきます」
ますます苛めたくなって、という言葉は飲み込んで。
この家庭教師は案の定都合よく解釈したようで、眉を寄せて泣きそうな顔でこちらを向いた。
「違うの!・・・・・違うんだ」
「どうしたんですか」
「・・・・・・・・あの、いや、あの」
「・・・・・・・・・」
無言で促す。
頬を赤らめ、何度もこちらをちらちら見て、女は唇を少し舐めた。
誘ってるのか、と言いたいところだが、
「あの・・・さ、ネウロくん・・・・最近・・・・」
「何ですか」
「最近・・・・男っぽくなったよね」
「はぁ」
無言。
目の前の自称大人は、顔を真っ赤にして微かに震えている。
意味がわからない。
「・・・・・・・それが何か」
「いや、なんでもない!なんでもないんだってば////!!!!!」
いきなりぎゃんぎゃんと騒ぎ立ててくる少女のごとき身体を押さえ込んで、顔を寄せる。
びくりと小さく震えて、それは大人しくなった。
間近で見つめたまま、思考を巡らせる。
理解はできないが、言葉と状況を整理して鑑みるに、
「僕の雄性を意識しすぎて、破廉恥な想像をしてしまい目が合わせられなくなったと、」
「いや、そんな身も蓋も無い・・・ってか違うよ!そうじゃなくて・・・っ////」
「先生」
呼べば、家庭教師は上目遣いで睨みあげるようにこちらを見てくる。
潤んだ瞳。
赤い頬。
なるほど、無理やりな先生面もこれを隠すため、か。
まぁ、悪い気はしないので
「安心してください、僕はまだまだ子供ですよ」
にっこり笑って、
「ネウロく・・・・んんんっんぅ〜〜〜〜〜っ/////」
小一時間、キスするだけで許してやることにする。
「ちょっ・・・・んんぅ・・・・んーーーーっんーーーーーーーーっ/////」
END
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高校生の彼(゚∀゚)
番外編、どうしたみずもり。いや、何か神のお告げがあったのです(何
めっさ楽しかったけど、連載はしませんよぅ。