虚しい関係

□虚しい関係
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◆◆◆◆


「あ、キラ――」
然程気分を害した風もなく、当然のように部屋を出て行きかけたキラを、咄嗟にアスランが引き止めた。最近こういう場面が頻繁にある。
首をかしげて振り返ったキラが、溜息を飲み込むのもいつものことで、ここらで一度整理しておく必要も感じていた。

「あのねぇ。いい加減にハッキリしとかなきゃと思ってたんだけどさぁ」
こういう時のアスランの表情は決まっている。申し訳ないような、後ろめたいような、まぁ有り体に言ってしまえば“罪悪感満載の顔”だ。

無論キラはアスランにそんな顔をさせたくて始めた関係ではなかったし、気持ちを自覚したあとでは尚更のこと、ほとほとうんざりしていたのだ。第一“罪悪感”を持つこと自体、キラに対して失礼だとは思わないのだろうか。
「何を負い目に感じてるのか分からないけど、知ってるでしょ。この関係が僕にとってもデメリットばかりじゃないってこと。僕だってきみとは理由が違うけど、女の子と結婚したって子供を授けてあげられないかもしれないって点では同じなんだから」
「だが…お前は一世代目のコーディネーターだ。確率からすれば俺より高いはずじゃないか」

アスランの言っていることは間違ってない。キラは世代というカテゴリーに分類するなら確かに一世代目だからだ。

―――但し、唯一無二の。


だからキラに子孫を残せる能力は極めて低いと結論付けるのが妥当だ。そして何よりキラにはその気がない。

全てを知った時、決まったのだ。

こんな遺伝子を次代に継ぐのは、生き長らえるよりも罪なことであると。



その辺の事情を知らないから無理はないとはいえ、まるで見当違いの発言をするアスランに、今度の溜息は見せ付けるように大袈裟してやることで溜飲を下げてやった。

「はぁ。ま、確率でいえばそうかもね。でも無理だよ。僕は女の子に興味ない性癖の人だから」





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