虚しい関係

□望んだ関係
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優しいが、想いの伴わない関係。
幼馴染みとしては少々行き過ぎたかもしないけれど、そもそも相手との距離など他人と比較するものではない。

これは一時、傷を舐め合うだけのものだと割り切っていたはずだった。


それなのに。
どんどんのめり込んで行くのが止められなかった。さながら大海原に浮かぶ頼りない小舟のように、沸き上がった“恋情”という波に為す術もなく翻弄される。駄目だと分かっていても、アスランに惹かれる心に歯止めは利かなかった。

ならば関係を断てばよかったのだと誰もが思うだろう。

でも、出来なかった。


(結局は人間だってことなんだよね、僕も)


人の手によって遺伝子から作り替えられた“ヒトモドキ”。そんなものだと定義つけなければ遣り切れなかった。事実身体はそれで間違ってない。なのに“心”はこんなに“人間”で。
いっそ嗤えてくる。




結果としてキラばかりがアスランのことを想うという、虚しい関係が出来上がってしまった。
事後、身体を清めることもせず、ダラダラとするのを嫌がっているのを感じ取り、届かない想いへの腹いせも込めて、わざとそうしていた時期もあった。が、それもすぐにやめた。そんなことしたって自分が気持ち悪いだけだし、アスランが眉を寄せる度、もう用済みなのにいつまで居るつもりだと言われていると思うと辛くなったのだ。別に甘いピロートークなんて期待してないと自分に言い訳しながらも、傷付いてしまう心にまた嗤った。

でも例えシャワーで身を清めても、アスランの反応は同じだった。今やアスランにとってのキラなどシーツのシミ、いや、煩わしいことにかけてはシミ以下に違いない。


つまりはシャワーの有無など関係なくて。
キラの存在の存在自体が、肉欲を満たすために幼馴染みを利用した自分の醜さを、否が応にも突き付けられているようで、アスランはそれが嫌なのだ。





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