虚しい関係

□望んだ関係
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あぁ傷付いている、とキラにはすぐに分かった。
そして癒してあげたいと。助けてあげたいと思った。

同情とかそういう“上から”目線ではなく、同じ目線で、同じ人間として。似たような境遇にあるだろう彼を。


この強い衝動の中心が何なのか、最初キラには分からなかった。でも辛くて仕方ないくせに、それを発散する術を知らない不器用な幼馴染みを、堪らなく愛おしく思ったのだ。




◆◆◆◆


「アスランは固く考え過ぎだよ」
確かにカガリと結婚するのは難しかったかもしれない。彼女には制約が多過ぎる。惚れた腫れたで結ばれるという単純な相手ではないのだ。
それにそもそもなぜ付き合うイコール結婚なのだろうか。もっと軽い気持ちで女性と付き合ってみてもいいのではないかとキラは思う。
“遊ぶ”ということではなく、ちょっといいなと思った相手と気軽に――。

そこまで考えて、キラは「あぁ駄目だ」と溜息を吐いた。アスランは多分女の人との距離の取り方が上手くないのだろう。最初に親しくなった女の子は“婚約者”であるラクス・クラインで、もうその辺から普通とは違ってしまっている。アカデミーに入り“先輩・後輩”の女性はいただろうが、例え彼女達から思慕の想いを寄せられても、そのまま軍へ入隊したアスランにとって、彼女等はそのまま“上司・部下”にしかならなかった。軍隊という無味乾燥な括りでは“友人”というカテゴリーは発生し難いのも分かる。


つまりアスランは数多の女性が憧れる存在ではあっても、いざ色事になると、いつもどこか遠い場所にいたのだ。





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