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大嫌い(完結)
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久しぶりに姉・カガリの元を訪れたキラは、夜も遅くになって小さな訪問者を迎えた。

「どうしたの?リン。入っておいでよ」
リンという名の彼女は確か今年で7才になったはずの、カガリの娘である。気が強く明るい性格はカガリそのものでキラも好ましく思っていたし、リンもたまにしか来ないキラに懐いていたが、今日は何故からしくもなくドアの所で躊躇するように立ち尽くしていて、中まで入ってこようとしない。
不思議そうにキラが声をかけてやって、ようやくとぼとぼと近付いて来る有様であった。
かと思えばキラ用に綺麗にメイクされたベッドにバフンと音を立てて寝転がり、枕に顔を埋めてしまう。
明らかに不貞腐れた様子に、キラは苦笑して立ち上がり、リンのこれも母親譲りである鮮やかな金髪を撫でてやった。

「何かあった?カガリに叱られたとか?」
優しい声は顔を埋めたまま、左右に振りたくられた頭で否定された。しかし昼間に何かあって、キラにそれを聞いて欲しくて彼女がここへ来たのは明白。
キラは出来るだけゆっくりと彼女を促した。
「じゃあ、どうしたの?友達に苛められた?」
リンに限ってそれはないと思ったが、水を向けるためにキラが敢えてそう言った途端だった。

「シオンはリンを苛めたりなんかしないわ!!」
ガバッと上げられたリンの顔は半ベソをかいている。どうやらリンがこんな状態なのは、そのシオンという友達が深く関わっているらしい。
「シオンは優しくって、いっつもリンを守ってくれるんだから!!」
「そう。なら喧嘩したんだ。しかもリンの方が悪かったって自分でも思ってるんでしょう?」





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