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□オサナナジミ(完結)
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「別れたって!?」
「そ。だから暫くは寂しい独り身に戻るから、宜しくな」
彼女らしいサバサバした物言いは、キラにとっては青天の霹靂だった。


「な・なにがあったの!?だって仲良かったじゃないか!昨日だって一緒に帰って――」
「何度も言わせるな。とにかくあいつとはわ・か・れ・た・の!」
「あ、ごめん」
ジロリと睨まれて、キラはそれ以上しつこく尋くことは出来なくなってしまった。




††††


幼馴染みのアスランと、キラの中学からの友達のカガリ。二人はキラを通じて知り合った形で、高校二年に同じクラスになったのを期に親密になり、付き合うようになった。
それを聞かされた時は少し寂しくも感じたが、三人の関係が極端に変化することはなくて、三年生になった今まで楽しくやってきた。
いや正確には昨日まで、か。


それなのに。




アスランとカガリは本当に別れてしまったようで、挨拶も交わさないばかりか、一度も顔も合わさない。勿論そんな二人の異変は、すぐに他のクラスメートにも知れることとなった。

本人たちに聞けばいいのだろうが、流石にそれは憚られるらしく、みんながキラにことの真相を聞いてくるのには正直参った。特に抜群の容姿に成績優秀、なんでもソツなくスマートにこなすアスランは元々多くの女の子の憧れの的だったのだ。ただあれだけモテていながら、アスランが特定のカノジョを持つことはなく、なんとなくお互いに牽制し合っていたら、カガリに横からかっ攫われた形になっていただけで。

フリーになった今では、もう誰に遠慮がいるものかというトコロなのだろう。


クラスの女子たちの気持ちも分からないではない。


しかしキラだって彼女達と条件は変わらないのだ。今朝初めて別れた事実“だけ”を聞かされただけのキラに、詳しい経緯など答えられるわけがなかった。





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