Complex

□キラさまの悩み・6(完結)
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人間には時々夢を見ながら“あーこれは夢だなぁ”と自覚していることがある。

今夜のアスランがまさしくそうであった。




◇◆◇


いつもと同じ執務室にいて、いつもと同じ仕事をやっている。だが何故かアスランにはそれが夢の中だと分かっていた。

(せめて夢でくらい、もっと楽しめないものか…俺)
しかもやっている仕事はカガリの代行で、現実と何ひとつ変わらない有様だ。


(あ〜!止め止め!!)
なにも寝ている時まで仕事をすることはない。アスランは手にしていた書類を机に放り投げ、頭の後ろで腕を組み、背もたれに体重を預けるというリラックスした姿勢を取った。試しに“楽しめる夢”とやらを想像してみる。
(例えば…キラと海へ行く夢とかがベターだな)
常夏のオーブには通年海水浴が可能な海岸がある。余り一般的とはいい難い生い立ちのアスランではあるが、そういうところは健全な青年男子。恋人の水着姿を堪能するのも悪くない。
恥ずかしがり屋のキラのことだ。最初は水着姿(当然ビキニ)を隠したがるはず。だが遊びに夢中になるに連れ、段々羞恥心など頭から吹き飛んでしまうことだろう。キラはそういう単純なところが実に可愛らしい。
恥じらう姿も男心を揺さ振るが、無邪気に笑うビキニ(←ここ重要)姿のキラはもっとアスランを虜にするに違いない。




◇◆◇


「あ!やだ!アスラン!!浮き輪返して!!」
「キラはすぐこういうものに頼っちゃうから、いつまでも上手くならないんだぞ。全く泳げないわけじゃないだろう?」
「そうだけど、別にいーじゃん!訓練規定じゃあるまいし、そんな必死になんなくったって〜」
「だぁめ!折角の機会だ。一度沖まで行ってみよう」
「やだったら!放してよ、アスラン!!」
浮力を借りなくてもキラは軽いが、水中では尚のこと。キラを小脇に抱えていても、アスランは難なく足のつかない沖まで連れて行くことに成功した。





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