捧げの桜
□永遠の愛を貴方に
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―…いつからかしら?
純白のドレス、華やかなブーケ、幸せそうな笑顔…そんな物に憧れを抱き始めるようになったのは―…。
さわやかな朝。
可愛いらしい白いドレッサーの前に腰を下ろして、鼻歌を歌いながらせっせと手を動かす女性の姿。
腰までの長い栗色の髪を優しく、念入りにとかし、唇には鮮やかなピンク色のグロスが乗せられ、瞼には淡いピンク色のアイシャドウ。
最後に香水を軽くつけて立ち上がり、全身を確認するようにくるりと身体を回転させて、鏡の前でポーズをとってみる。
「よーし!こんな感じでいいわよね?」
鏡に映るのは白い七分袖のYシャツの上に淡いピンク色のセーターベストを重ね、金色の刺繍が入った黒のネクタイを絞め、赤いチェックのプリーツスカートといった可愛いらしい服装の女性。スカートの裾やネクタイを直していると澄んだ女性の声がした。
「太陰、そろそろ時間ですよ」
「えっ!?もうそんな時間?
はーい、今行くわ!」
優しげな女性の声に太陰と呼ばれた女性は淡いピンク色のベッドの上にある鞄を持ち、返事を返すと慌ただしく階段を駆け降りて行った。
「おはよう!天一!」
リビングのドアを開けると、テーブルにトーストなどの朝食を並べているエプロン姿の金髪の女性に声をかける。
「おはよう、太陰。
まあ、可愛いらしい」
天一と呼ばれた女性は太陰に挨拶を返すと彼女の服装に気づく。
「そう?昨日買って来たの」
「とてもよく似合っているわ。太陰はおしゃれね。
さあ、朝食の用意が出来たから頂きましょう」
「うん!」
促されて太陰は席に着く。
太陰が席に着いたと同時にリビングのドアが開いた。
「おはよう。天一、太陰」
「おはようございます」
「勾陣、天后!おはよう」
「勾陣、天后、おはようございます。
これから朝食を取る所よ。二人も席に着いて」
入って来たのはスーツ姿の勾陣と天后だ。
挨拶を交わし、二人共席に着く。
四人揃うと、頂きますと手を合わせてそれぞれ朝食を口に運ぶ。
「太陰、また服を買ったのか?」
太陰の服装に勾陣も気づく。
「うん。昨日学校帰りに友達とショッピングしてたら気に入っちゃって」
「太陰がファッションを気にするようになるとはね」
太陰の返答に、コーヒーを一口飲むと勾陣はからかうように言った。
それに対して太陰はむう、と頬を膨らませる。