花夜語り

□彼方からの鈴の音
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緑そびえる山中には美しい花々が咲いている。辺りに見えるのは彩り美しい花だけ。建物や民家らしい物は全く見当たらない。視界を遮る物は何もなく、誰もが見とれるであろうその光景。

―…ザア…―

一陣の風が、吹き抜ける。その瞬間、何かに吸い寄せられるように後ろを振り向く。
そこには何もなかったはずなのに、深緑の木々がそびえ立つ中、なんと立派な古い洋館がひっそりと建っている。驚き、目を奪われていると、突然背後に声をかけられた。

「いらっしゃい。」

振り向くとそこに立っていたのは藍色の長い髪に着物姿の美しい女性。
女性は言った。


「ようこそ。我が館へ…。貴方は選ばれし客人。」


「え…貴方は誰ですか?このお屋敷は貴方の…!?」

女性はクスリと笑い、言った。


「私の名前は緋東 麗華(ひあずま れいか)。
そして、この館の名は「月華(げっか)」。歓迎するわ。
迷える蝶よ…。」


―「彼方からの鈴の音」―

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