月夜語り

□君の想いに敵う物
2ページ/11ページ

「だが、最もな意見だ。」

「うん、俺もそう思う。すごいよ紅蓮!」


照れながら言う騰蛇に、二人は尊敬の眼差しを向ける。


「おいおい、大袈裟だな///それより、早くお返しを決めなくてはいけないだろう。」


「む…そうだった。とりあえず、我はもう一度よく考えてみる。」


「うん、俺も。」


「そうか。俺ももう少し色々見てみることにする。頑張れよ二人共!」


「うん!」


「うむ。」


こうして、三人はそれぞれ行動を開始した。



玄武は2階の自分の部屋に戻ると、机の上に置いておいた雑誌を持ってベッドに腰を下ろす。


「…ホワイトデー…。」

玄武はそう呟きながら雑誌のページをめくる。
ページをめくった瞬間、「男子必見!ホワイトデー特集!」というタイトルが大きく記載されたページが現れた。
玄武が見ている雑誌は、彼が太陰へのお返しのことを思案しながら街を歩いていた時に、たまたま見つけたホワイトデーに悩む男子のための参考雑誌である。
普段はこのような雑誌に興味はないし、買う気もしないがその時だけは、やむおえなかった。
3月に入ってすぐに、ホワイトデーのことを意識し、用意しようとしていた。しかし、なかなか事が思うようには行かなかった。
時間を見つけては街に出掛け、デパートや雑貨屋などを見て回った。
けれど、なかなか良いと思う物が見つからなかったのだ。
太陰の喜びそうな物を、と色々見て回ったが彼女が喜びそうな物は見つからない。それ以前に、太陰が喜ぶ物がわからない。
おまけに、玄武は誰かに何かを自分からプレゼントしたことが一度もない。同じ男なら大体の見当はつくが、女子の好きな物とはなんだろう。


「はあ…どうしたものだろうか。このままではホワイトデーに間に合わない…。」


溜め息をつきながらも、とりあえず雑誌を眺める。雑誌には可愛いらしい小物などの写真が載っている。


「…なるほど。女子はこのような物が好きなのか。」


そういえば、今まで自分が見て回った所にはこのような可愛いらしい小物はあまりなかった気がする。
そう思った瞬間、ふと玄武の脳裏にある疑問が過ぎった。


『自分は太陰のことを理解出来ていないのではないか?』


唐突に過ぎった疑問。
しかし、それをすぐに打ち消すことは出来なかった。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ