第4取調室

□大好き
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ねえ柊二。
梶原の寝顔って、かわいいよね?


彼はいつも毛布の中で目覚める。
どうも温かい場所へ入り込んで、身体を丸めて眠る癖がついているらしい。
梶原が傍らで眠ってくれて、その体温を感じても。
真夜中には不安に襲われる。
そんな時は、猫の様に丸くなって眠るのだ。
もがもがと彼は毛布から顔を出すべく、出口を探す。
ようやく彼が外に顔を出した時。
雀がベランダの手すりを歩く音がして、その後で微かな羽音が耳に届いた。
「………」
顔だけを覗かせた先に、梶原の寝顔。
規則的に繰り返される呼吸。
「………かじわら……」
そっと名前を呼び、彼は梶原の鼻に自分の鼻をちょんちょんとくっつけた。
「……ん……?」
少し鼻梁にシワを寄せ。梶原は目を閉じたまま唸る。
それを見つめ、彼はにこりと笑った。
「大好き……かじわら……」
今度は額に額をくっつけて。
彼は呟く。
布団から出ている梶原の右肩から、広い背中を手のひらで撫でる。
「かじわらは……あったかい、ね……」
すりすりと額をこすり、彼は梶原の鼻に軽いキスをした。
梶原はまだ眠っている。
しかし、その右手で彼の身体を引き寄せた。
「黒ちゃ……ん」
「………うん……」
きゅう、と梶原の腕に抱き締められ。
少し息苦しい様な、嬉しい様な。
今度は梶原の、顎に軽く噛み付いてみる。
くすり、と梶原が笑った。
「ゃ……っ痛い……っ」
僅かに髭が伸びた顎をじゃりじゃりと頬に擦り付けられ、彼は小さく悲鳴を上げた。
再び梶原の寝息が聞こえる。
彼も、数回瞬きをした。
まだ眠い。
ごそごそと毛布の中に潜り込み、彼も目を閉じた。
左手はしっかりと、梶原の背中に回したまま。

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