動乱の氷華
□プロローグ
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動乱の氷華
世界とは、なんとつまらないものか
私には、全てが色なく見える
季節を色付ける花たち
日をおうごとに変わる空
目にうつるもの、全てが虚しい
死への恐怖
生への執着
それもない
否、無駄と言えるだろう
我ながらつまらない人生だとは思う
刀を掴む手にピリリとした痛みが走った
またマメがつぶれちゃった
足に力を入れ血の気の引けた知らない男、
今回のターゲットと言おうか
頸の動脈を狙って切りつける
視界には鮮血の血しぶき
あぁ…っ!
何て美しい…赤なのだろう
回りの男どもは、恐ろしさと恨みの視線を私に向ける
いい、こんな腐りきった世界
己の欲を満たすためだけの愚かな人間
もう見飽きた
この身を捧げた筈の彼はもういない
そんな世界に、なんの意味があるだろうか
今の私に怖いものはない
殺せばいいんだ
この腐りきった世界に、私の生き抜く意味は
もう、ないのだから───…