動乱の氷華
□剣客
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「いや、あのさ、僕、強いよ?」
「存じ上げております。」
「じゃあ女子に護られるわけ無いでしょ。
いきなりなに言い出すのさ」
「……お言葉ですが沖田さま。
本当にただの女か…試してみますか?」
「…」
頭を下げたままで表情は見れないものの、
確かにその声からは本気なのが伺えた。
3話.剣客
「良いじゃねぇか総司。」
「でも土方さん…」
「平助とかそのへんとなら大丈夫だろ。
それに得物は竹刀さ、怪我ぁしねえよ」
なにより…と頭を下げた澪に鋭い視線を流し、土方は言葉を続けた。
「こいつは、確かに剣客だ」
それに気づいたのか澪も頭を上げにこりと笑みを浮かべた
「あーあ。僕知りませんよ。
せっかく助けたのに。傷口開いても」
「ご忠告感謝いたします」
笑顔で返した澪に、
やりずらそうに沖田は頭を掻いた。
「………変わってるなぁもう」
そうと決まれば支度が必要。
ふうっとため息を吐いて、
沖田は澪を急がせて部屋をあとにした。