やはり十分前になると狛村隊長は現れた

『やはり貴公だけか』
狛村隊長も同じようなことを思っていたらしく、俺は返事の代わりに短くため息をついた


ついに寒さに震えさえもなくなったが、未だ揃ってるのは先ほど現れた卯ノ花と狛村隊長だけで

『困りましたね』

そう言って肩を小さく震わせた卯ノ花
俺なんかもう震えさえ止まりつつあるが

『儂は平気だが、』
そう言って狛村隊長は俺の方を見た
氷雪系の斬魄刀とはいえ、けして寒さに無敵なわけではない
恐らく先ほどまで、文句を溢していた俺が一言も発しなくなったことに異変を感じたのだろう


『日番谷隊長』
狛村隊長は俺の方に向かって歩いてきた

まさか、

『寒いだろう、だから』

まさか、

『儂の毛皮にくっついているのが良いだろう』

やはりそう来たか──
思わなかったことではない
もう随分前からあのフカフカの毛の中に埋もれたらどんなにか幸せだろうと
そんなガキのようなまねはできないと自制しつつも

しかし、今は一刻を争う
恥を捨てて俺は───


『ふふっ、暖かかろう』

狛村隊長にダイブした




それからのことははあまり聞かないでほしい

タイミング悪くも、その瞬間を見た浮竹と京楽にとことんからかわれたり、あまりの眠さに会の途中で立ったまま居眠りをしてしまい、総隊長の拳骨を喰らったり(てめえのせいで寝不足なのだが)と、とにかく災難続きだった



最悪な隊首会が終わると、一斉に隊長達は帰ってしまった

いつもなら総隊長のたてたお茶と朽木の持ち込んだ某有名老舗の和菓子をお茶請けに、何とも盛り上がらない茶会があるのだが

いつも一番はりきっている浮竹に理由を聞くが、「今日は気分が優れないんだ」と言ってフラフラと帰っていった

近くにいた砕蜂に聞いたが、「あんな茶会なければ良いのだ」と言い、余計な詮索はするなと言う風に突き放された
確かに俺と同じ意見ではあるが、理由も分からずに事を済ますのは、なんとなく納得いかない

しかし、先ほど拳骨を喰らった身としては総隊長に聞くわけにもいかず、事はうやむやにしたまま自隊に帰った





そんなこんなで今、よく分からないことが目の前でおきている

どうしても現状が把握できない

俺の脳は正常に機能していないのでは、と一抹の不安を抱き、頭を何度か小突いてみるがやはり、痛い



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